「あ……」
今、私が立っている場所から教室1つ分ほどの距離。そこには、理央くんと……見覚えのある女の子が楽しそうに話していた。
理央くんは、こちらに背を向けているから私に気づいていない。
びっくりして立ち止まってしまい、その光景を無意識にじっと見てしまう。
あの女の子は確か、2年の女バスの子だ。
直接話したことはないけれど、彼女が入学した当初から美少女だってクラスの男の子たちが話題にしていたからなんとなく名前とその姿は知っていた。
名前は、たしか――――。
「南山先輩、どうかしましたか」
後ろから、聞きなれない声で名前を呼ばれる。
振り返ると、そこには女の子が立っていた。
さらさらのショートボブに、すらっとした手足。
「あっ、真由帆ちゃん」
話しかけてきたのは、麻里花ちゃんの2年の妹さん、真由帆ちゃんだった。
去年の委員会で交流があって、仲のいい先輩後輩とまではいかないけど会えば話すような仲ではある。
「あー……」
真由帆ちゃんは、私の視線をこの一瞬で察したみたいだ。



