「あ」
角を曲がった先で、見覚えのある背中を発見。
走るのはちょっと恥ずかしいから、早歩きをしてだんだんと近づいていく。
私よりも頭半分高い身長。すぐ目の前まで来て、その肩をぽんと軽く叩いた。
「おはよう、理央くん」
「わ、おはよう」
振り返って、長い前髪から覗く瞳と視線が合う。
理央くん————北海理央くんは、同い年の三年生で、小1からの幼なじみ。私の家の近くに住んでいるんだ。
同じ南橋中に通っていて部活は男子バスケ部に入っているんだけど、運動はあんまり好きじゃないのだと。持久走大会とか、毎年すごく嫌そうな顔をして参加していたし。
「今日もすっごく暑いね~」
「な、太陽まぶしい……」
空を見上げながら目を細める理央くんを、私はちらっと見た。
家から学校までは、約15分程度かかる。
昔通っていた小学校の隣にあるから、この通学路を歩くのは今年で9年目、慣れたものだ。
たわいもない話をしながら学校に向かっていると、あっという間に校門まで着いてしまった。
「じゃあまた、弥生ちゃん」
「うん、朝練頑張ってね~」
私は、体育館へ向かう理央くんの背中を見送る。



