甘いセロリの王子様




 ……少しだけ、考える。

 この夏から冬にかけて、私たち受験生にとってはとても大切な時期だ。

 今までのように合唱に力を注ぐ体力も時間も……足りないということは分かっていた。



 だけど……。

 床を向いていた視線を、まっすぐ上げる。



「私は、合唱が好きです。とても大切なものです。だから……合唱部の3年生として、引退まで駆け抜けていきたいなって思ってます」



 これは、私の本心だった。

 好きだから、大切だから。そして、中途半端に終わらせたくなかったから。



 先生は少し目を見開いた後、うれしそうに笑った。



「そう。南山さんが言うなら、私も全力でサポートさせてもらいます。先生と、部員と、一緒に駆け抜けましょう」

「はい」




 カギは先生が片付けてくれるみたいで、私はそのまま部室を出た。

 帰ったら、今日やったところのパートをもう一度練習しよう。

 勉強のほうは、復習と明日の予習を。



 やるって決めたからには、やりきらないといけない。

 だけど、苦じゃない。

 合唱も、目標に向かって勉強を頑張ることも、楽しいから。