甘いセロリの王子様




 ……なんで、理央くんの顔が思い浮かぶんだろう。

 もし、理央くんがこの場にいたら。

 同じように笑って、同じように言うのかな、なんて。



 想像するだけで、そこからなにか答えが出るわけでもないのに。



「まあいいわ。もうすぐホームルーム始まるわね。一時間目の音楽の授業、一緒に行きましょうね」

「了解~、またね」



 私は席について、カバンから取り出した教科書を机の中へ入れる。

 冷房が付いているとはいえ身体は熱くて、ワイシャツの第一ボタンを開ける。

 先生が来て、チャイムが鳴った。



 朝礼では連絡事項が伝えられ、先生からはプリントが配られた。



「これは、夏休み中にやる三者面談に関するお知らせだ。お家の人と相談して都合の良い日程と時間を記入して夏休み前までに提出。進路に関する大事な面談だから、しっかりとプリントを渡すようにー」



 手元に届いた用紙。『中3 三者面談について』の文字が目に入る。

 学業の成績や内申を元に、冬までには進路を決定していかなければならない。



 一応ある程度決めてはいるけれど……6月にあった二者面談で具体的な高校名を出したとき、先生には「もっと上を目指せるのではないか」と言われた。

 もしかしたら、本当にそうかもしれない。だけど、私の中ではなんとなく答えは決まっていて。



 私は、ファイルにプリントを仕舞った。