甘いセロリの王子様





 7月も中旬になるころ。

 朝、教室に入ると半分くらいの生徒がもう登校していた。



 ついこの間までは、ホームルームが始まるギリギリに来る人のほうが多かったはずなのに。

 最近は、朝の教室が静かだ。



「おはよー弥生」

「おはよう、奈央ちゃん」



 私よりも早く学校に来ていた奈央ちゃんが、小さく手を振ってこちらへ来る。



「なんだか、前よりもこの時間にいる人が多い気がするんだけど……」



 疑問に思って聞いてみると、奈央ちゃんは周りを見渡した。



「ああ、もう運動部は引退している人が多いみたいね」

「ええ、そうなんだ」



 なら納得。

 運動部は市町村大会を勝ち上がった一部を除いて、もうほとんどが夏休み前に引退する。



 ふと、廊下に視線を向けた。

 そういえば、今日理央くんに会わなかった。男バスは今もまだ朝練があるんだろうか。

 大会は、県大会まで続くはず。



 理央くんは隣のクラスだからいつ登校しているのかは分からない。だから、憶測ではあるんだけど。




「そうだ。ダンス部は、いつまで活動するの?」



 奈央ちゃんは中2の夏ごろに南橋中へ転校してきたんだけど、部活に入ったのは中3になってからだった。活動できるのは短期間だけど、なにか打ち込めるものが欲しかったんだって。