甘いセロリの王子様




 ちゃんとした意味がなかったとしても、音で決めたというのが私自身の名前の由来になるんじゃないかなと思っているから。

 それは、伊乃ちゃんだって。



 「ああ、そろそろ出かける支度をしないと。伊乃、塾の準備できてる?」

 「うん」



 ご飯を食べ終わったお母さんが、時計を見ながら慌てたように立ち上がった。



 「お母さん、私洗い物やっておくね」

 「ありがとう弥生。お願い」




 そのあとすぐ、二人は家を出て行った。

 残った私はお皿を片付け、シンクに置いて水を出す。



 私は塾には特に通っていないけれど、受験が近くなったら対策として模試や特別講習を受けることは視野に入れている。夏休み中に、お母さんに相談してみようかな。

 できれば負担はかけたくないけれど……確実に受験へ合格するよう対策をする方が、きっといいだろうから。



 真夏の夜に触れた水道水は、とても気持ちよかった。