甘いセロリの王子様




 私の家族は、お父さん、お母さん、そして妹。

 賑やかな家庭、といえば違うかもしれないけど、私にとってはとても大切な家族だ。



 「伊乃、今日は学校で何かあった?」



 ふと、お母さんが聞く。

 こうやって質問したりするのは、いつものことだ。

 伊乃ちゃんは自分から話をしたりってことがあんまりないからって、お母さんは言っている。



 「え……っと、国語の授業で名前の由来の話になって、みんなが楽しそうに話してた……くらい、かな」



 伊乃ちゃんは少し考えた後、そうつぶやいた。



 「そうなの。……名前の由来ねえ。昔二人に聞かれたことがあるけれど、私たちは名字の相性や音でつけてしまったから……名づけをしたあの頃は、余裕がなくてね。本当はちゃんと意味を考えてあげたかったんだけど……」



 お母さんはゆっくりとスプーンを置く。

 名前の由来の話については、何度か聞いたことがあった。興味本位や、学校の宿題なんかで。



 私は8月22日生まれだ。だけど、名前である"弥生”は3月の旧暦の別名。

 なんでなんだろう、と疑問に思うのは自然。だけど、相性や音で決めたのなら納得だったんだ。

 そして、"弥生”には他にもたくさんの意味がある……のは、お父さんとお母さんには言わないことにしている。