甘いセロリの王子様

 


 住宅街にある一軒家、私の住む家に着いて玄関のドアを開ける。

 中からはスパイスの香りがした。



 「お母さん、ただいま」



 リビングに入ってすぐのところにあるカウンターキッチンには、お母さんが立っている。

 夕ご飯のメニューはカレーかな。



 「あ、弥生、おかえりなさい。今日は伊乃(いの)が夏期講習で6時半から塾なの。だからお夕飯早めなんだけど」

 「うん、大丈夫だよ。手洗ってくるね」



 伊乃、というのは一つ下の妹だ。

 妹と言っても、身長は155センチの私と同じくらい。控えめで大人しい性格をしている。



 鞄を部屋の端に置いた。洗面所に行って手を洗い、そのままキッチンへ。



 「お母さん、もうお皿だしておくね」

 「ええ。お父さんは帰ってくるのがもう少し遅くなるそうだから、まだよそらなくていいわ」

 「わかった~」



 スープを作っているお母さんの横で私はカレーを3人分よそい、そのうち2つを持っていく。

 するとタイミング良く、リビングに伊乃ちゃんがやってきた。



 「お姉ちゃん、帰ってたんだ」

 「うん、ただいま~」



 伊乃ちゃんは私から器を受け取り、そのままダイニングテーブルに置く。

 食べる準備ができて、午後6時前。3人でいただきますとあいさつをした。