甘いセロリの王子様



 雨が降った次の日の朝は、草木の香りが強い。
 つんとした匂いが鼻を刺す。

 玄関のドアを閉めて、ふうと深呼吸した。


 「……よし」


 気合、十分っ。


 学校指定の布製リュックを背負い直し、私は歩き始める。

 私———南山(みなみやま)弥生(やよい)南橋(なんばし)中学校に通っている中学三年生だ。


 南橋中学校の制服は、紺色のブレザー、群青色をしたチェックのスカートとリボンタイ。今は夏服だから、ワイシャツに冬服と同じ柄のスカートだ。

 ……もう今年でお別れなんて、ちょっと寂しいな。


 水たまりをよけながら、道を進んでいく。

 ピンク色のリボンで高い位置に結んだサイドテールが、ふわりと揺れた。


 7月上旬、しっとりとした熱風が隣を横切っていく。
 最近は朝から暑い日ばかり続いているなあ。