電話を通してでも聞こえたのだろう、うるさいほどの女の子たちの声が。


「そ、そのショッピングモールです……」


『ええぇ!?マジ!?」


うぅ……美湖ちゃん、声が大きいよ……。


「と、とにかく!うちの分まで会ってきてね」


美湖ちゃんは興奮したまま電話を切った。


……そんなにすごい人なのかな。


「んだよこの人混み……。帰ろーぜ」


「ええぇ……ちょっと見て帰ろうよ」


「ったく……」


カヤはだるそうにポケットに手を突っ込んだ。


カヤは人混みを嫌う。


今日だって、人の多いルートを避けていたような気がする。


「うぅ……見えないよ……」


気になってピョコピョコジャンプする私。


でも、人が多すぎて全く見えない。


「な?だから帰ろーぜ」


カヤは苦笑いしながら、人混みに飲まれないよう私の腕をつかむ。