「え……あ……い、いよ」


カヤは気づいてないのかな。


これ、か、間接キスだよ……?


「さんきゅ」


ドキドキと鳴り続ける心臓を必死に隠しながら、アイスを差し出す。


手、緊張で震えちゃってる……。


そんなことを思っているうちに、どんどんカヤの顔が近づいてきて……。


「……ん、うま」


カヤは満足そうに、口の端をぺろっと舐めた。


「っ、」


「はい、どーぞ」


カヤは、自分のアイスを私の口の前に持ってくる。


一瞬にして、顔が赤くなるのを感じた。


よし、と決心してカヤのアイスを食べた。


口の中に、たちまち爽やかで少し酸っぱいミカンの味が広がった。


「お、おいしい……!」


スーッと溶けていくシャーベットに名残惜しさを感じつつ、頭の中は間接キスをしちゃったことでいっぱいだった。