何かを感じたのか、カヤは私の頭に手を置いた。


「……ひでーな。あいつの言ったことは気にすんな」


カヤは小さな子供をなだめるように、ぽんぽんと頭を撫でた後、腰にまわされていた手を離した。


少しの喪失感が私をおそう。


「わり、戻るの遅くなって」


カヤは歩きながら紙袋をぷらんぷらんと振り回している。


「……うん」


手、繋いでくれないのかぁ……と思いながらカヤの隣を歩く。


でも、カヤは完全に私の歩幅に合わせてくれているのがわかるんだ。


「あの……」


「んー?」


「たっ……助けてくれて、ありがと」


カヤは、ふっと笑った。


まるで当たり前だろ、そう言うように。


今でも、ドキドキと心臓がうるさく波打っている。


抱きしめられたような感覚。


ーーーーー忘れられない。