まるでカップルみたいじゃないか。


「俺の服も買ってくるわ」


さっきからカヤは大はしゃぎ。


すごく楽しんでいるのがわかる。


わ、私も楽しまなきゃ!


……と言っても、さすが都会。


人混みがすごくて、少しでもカヤと離れたら本当に迷子になってしまいそうだ。



カヤの選んだメンズの服屋さんの前まで来る。


店内には男の人しかいなかったので、女の私が入るのには少し気が引けた。


「私ここのベンチで待ってる」


お店の近くにあるベンチを指差す。


ここなら近いし、スマホでも触っておけばいいだろう。


「迷子になんねーの?」


意外、とでも言うようにカヤは意地悪く笑う。


少しムッとした私はふんっとそっぽを向いてやる。


私だってもう高校生。


大人だもん。


「ははっ、ごめんって。すぐ戻ってくるわ」