「いらっしゃいませ」


私は、深夜まで営業しているファミレスのバイトをしている。


学校が終わったら、そのままバイト先へ直行。


今日も、笑顔を絶やさずにお客様を迎える。


うちのファミレスは大人気で忙しいから、結構な労働力。


でも、そうしてることでカヤのことなんか忘れられるから、逆にいいんだ。


その分お金も稼げる訳だし、一石二鳥だよね。


「大咲さん、少し奥で休んだらどうかな?」


店長が、優しく声をかけてくれる。


きっと、私の目の下に浮かぶクマや、膨大なシフトの量があるからだろう。


店長は私の体を定期的に気遣ってくれるんだ。


「いえ、そういうわけには」


まだまだ忘れられない、そう思ってやんわりとお断りする。


でも今日は違った。


「ダメ、大咲さん、働きっぱなしでしょ!家
 庭の事情があるのかもしれないけど、少し
 は休んでらっしゃい!」


店長は、見たことのない顔で、私を叱った。


「はい……」


お断りするわけにもいかず、結局奥で休むことに。


「あ、今日から新しい子が入ってくるから、
 特別に大咲さんの分をやってもらうわね」