「さてはお前、夜寝るのが怖いんだろ」


カヤはちゃかすつもりで言ったのだろう。


ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。


でも、今の私には涙を倍増させるもの以外なくて。


「もういいっ、早く出てって!!はいサング
 ラス!」


タンスから出したサングラスをカヤの胸に押し付けると、玄関の鍵を開けた。


「おー、さんきゅ」


カヤは、こんなに泣く私の気持ちなんか知らないでふっと笑う。


「じゃーな、くるみ」


サングラスをかけた後、大きな手が伸びてきたかと思うと私の頭の上に乗った。


そのまま、優しい手つきで撫でられる。


「ちゃんと寝ろよ」


カヤは最後に、優しく笑いかけた。


ガチャン


扉の閉まる音が、静かで、寂しい部屋の中に響いた。


「っ、」


最後に、名前で呼ぶなんてずるいよ……。


次から次へと、涙が溢れてくる。