どうしてか、涙の膜が張る。


こんなに誰かと暮らせることが嬉しくて、あたたかくて、優しいものなんだってこと。


カヤが思い出させてくれたんじゃん。


「責任とってよ……」


「は?何言ってん……」


バカにしたような笑みを浮かべてカヤは私を振り返った。


私の顔を見たカヤはぎょっとする。


つぅーっと、あたたかい涙が、頬をゆっくりと伝った。


カヤは無言で目を丸くしている。


きっと焦ってるんだろうな。


昨日会ったばかりの知らない人。


死んじゃいそうだったから、仕方なく家に泊めた知らない人。


意地悪で、口が悪い礼儀知らずの知らない人。


……知らない人なのに、なんでこんな……。


涙が溢れるんだろう。