「まーた泣いてんだろ」



コツ___……。




と後ろで足音が止まるとともに、久々に聞く低くて透き通った声。



袖でゴシゴシと目元を拭う。



せっかくメイクもしたのに。




「泣いてないよ」

やっと___……。



会えたね……。



「ばーか、バレバレだっつの」



ゆっくりと振り返ると、そこにはスーツに身を包んで、数年前より少し大人びた、カヤの姿があった。




私は、優しく微笑むカヤの胸に勢いよく飛び込む。



___あったかい。




ずっと待ち侘びてた、このぬくもり。



「浮気___……」




「私が浮気なんてすると思う?」




カヤは「かなわねぇな、」なんて言って、私を強く抱きしめた。




君のいない数年。



寂しくて、何度も心が折れてしまいそうだった。



でもね、どれだけ辛くても、寂しくても、眠い時だって。



カヤはもっと頑張ってるんだって。




それだけで私の原動力になったんだよ。



「___ただいま」




鼻をすする音が聞こえる。



泣いてるんだな。



でも、そんなのも愛おしくて、愛おしくて仕方がなかった。



「おかえり」



ゆっくりとカヤの背中を撫でる。



君のぬくもりも、優しさも、愛おしさも。
全部、全部全部。




私の初恋だから___……。






カヤと私の薬指に光る指輪は、朝日に照らされて、淡く輝いていた___……。




『初恋エターナル』〜Fin〜