「本当にカヤを愛してくださってるのね」



部外者の私が、他の家庭に首を突っ込んで怒られる!そう思ったのに、顔を上げると、そこには目に涙をいっぱい溜めた真綾さん。



「ありがとう。くるみちゃんの言ってくれたことだけで私はもうじゅうぶん嬉しいのよ」



「っ……」



そのまま涙を溢れさせる真綾さんを見て、私まで泣けてきて。



ズビズビと鼻を啜りながら真綾さんよりも大泣きしていると、玄関から騒がしい音がした。



ドドドドッ、と大きな足音がしたかと思うと、



「くるみ……!?」



と、焦ったような声と共に、今の扉が乱暴に開かれた。



嗚咽を漏らしながら声の主に目を向ける。



涙がたくさんの視界であまり見えないけれど。



目の前にいる人物は、一瞬でわかる。



紛れもない、



「カヤ___……?」



少し息切れをしているカヤ。



見間違えるはずもない。



どうしてカヤがここに……?



「わ……母さん泣いてっ……!?」



カヤの後ろからひょっこりと顔を覗かせた金髪。



その手にはスマホが握られている。



「っ……カヤ……なの……?」



私も真綾さんも大泣きしていることにぎょっとしたような顔をする2人。



それでも、真綾さんが更に涙を溢れさせてカヤに近づくと、カヤはなんとも言えないような戸惑いの表情を浮かべて後ずさった。



それはまるで、人間に慣れていないような野良犬のようで。