「帰ればいいんじゃないすか?家に」



待ってるはずですけどね、そんなことを言いながら、月くんは自分の分の紅茶をすすった。



「でっ……でも……カヤ今日の夜撮影だって……」



映画を見てる最中に言ってたもん……。



『やべ、夜急用の撮影来てんだけど。まじかよ』



そうカヤが呟いていたのを私は聞き逃さなかったから。



どうしたらいいの……?



また涙が溢れそうになって、慌てて上を向く。



もう、なんで私、こんな時に限って人に頼ってばっかりなのかなぁ。



カヤだってきっと、困ってたよね……。



なのに私が一方的に怒って出て行っちゃったから……。



すると、ちっ、と舌打ちをする音が聞こえた。



「あんのバカ兄貴が……」



「ちょ、全然いいんだよ。笑の私だから___……」



「そうですね、あんたも大概バカなんすよ」



「ひぇっ……」



鬼のような形相をした月くん。



「大体なんであんたはすぐに本心打ち明けてすぐ出てきちゃうんですかほんとに。 兄貴もバカなんっすけど?兄貴なりの答えあったはずでしょ。それをまず聞かねぇとなんも終わんねぇっつってんすよ」



一気に月くんの口からお説教の言葉が飛び出してきて、私はあっけらかんと口を開けた。



「まあ帰るの今日は気まずいかもしんねぇっすけど。俺が家まで送るんで」



明らかに怒ってる月くんが立ち上がって、慌てて身支度をする。



「ちょ……月くん……!?」