「どうぞ」



「あ、ありがと……」



月くんが、コトンと机にカップを置いた。



中には紅茶のような飲み物。



勢いでカヤを突き放して勢いで月くんについてきちゃったけど……。



まさか、カヤの実家でもあるところに連れてこられるなんて、思ってもなかった……。



少し、テーブルを挟んだ方にいる月くんに緊張感を覚えた。



「……で、結局兄貴とどうしたいんすか」



喧嘩した理由は聞かねぇけど、そう付け足して、月くんが私と目を合わせる。



う……その質問をされて言葉に詰まる自分がいる。



だって……カヤの抱えるものが大きすぎて。



理解できなくて……。



その時の衝動に任せて行動しちゃったんだもん……。



唇を噛みながらうつむくと、月くんはため息をついた。



「先輩は、兄貴が隠し事をしていたことに怒って出て行ったんですよね」



「う……はい……」



鋭い目が私をずっと捉えてる。



こう言う時の月くん、とっても頼りになるんだけどちょっと怖いんだよなぁ……。



でも、カヤに似てるからかな、もう慣れっこだ。



話を続ける月くんの容赦ない言葉にダメージを受けながら、質問に答えていく。



「……じゃあもう心配いらないんじゃないすか?」



今答えは出てるのかー、とか、兄貴とこのまま離れてぇのかー、とか。



質問に首を一生懸命振って答えているうちに、月くんは気だるげな表情をして、頬杖をついた。



「え……?」



何が心配いらないの……?
心配しかないんだけど……。



そんな意味を込めて月くんに視線を送ると、またため息をついた。