月くんの横にはいつものバイク___押しながら歩いていたのだろうか。



「何してるんすか?」



不思議そうに首を傾げる月くんを見て、一気に安心感が溢れた。



でも、同時に少しだけ気まずさも出てくる。



でも……月くんに相談した方がいいのかな……。



「か、カヤと喧嘩……?っていうか、私が一方的に出てきちゃっただけなんだけど」



顔がどんどん下を向いていって、月くんの足元を見ながら、ポツポツとさっきあったことを話し出す。



でも、カヤがニューヨークに行っちゃうことは言わなかった。



見てる限り、外部には私に初めて打ち明けたって感じだったし……。



「そしたら家に戻るのもなんだか気まずくなっちゃって……」



あはは、と苦笑いすると、月くんがいつものヘルメットを私に投げた。



「……場所、変えましょ」



そう言って月くんは、バイクに跨って後ろの座席を軽く叩いた。