驚きのあまり声の出ない私をよそに、時間は止まらない。



その人の手は太ももを優しく撫でていく。



いやだ、気持ち悪い。



トイレだと言って立ち上がろうとした時だった。



「おいこら、何やってんだよ」



太ももに置かれていた手を、誰かがつかみ上げた。



ハッとして見ると、キャップにサングラス、マスクというお決まりのコーデをした人の姿。



「カヤ……」



眉間にしわを寄せて、隣の男をキツく睨んでいるカヤ。



「……くるみ、帰るぞ」



私を立たせて、美湖ちゃんに「ごめん、コイツ持って帰る」と告げたカヤは部屋を出て行く。



「ま、待って!」



急いで追いかける。



まずい、相当怒ってる。



部屋を出ると、勢いよく腕を引っ張られた。



ガンッ!と鈍い音と共に、体が壁に押しつけられる。



「……何やってんの?」



カヤはサングラスとキャップ、マスクを外して、私を鋭い目で睨む。



「合コンなんて来んなよ」



ボソッと言ったかと思えば、次に来るのは強引なキス。



足と足の間に膝を入れられて逃げられない状態になっている。