「おーいくるみさん?またカヤくんと何かあったのかい?」



ツンツンと頬をつつかれる。



「ん?あぁ、美湖ちゃんか。……何もないよ」



「何よ美湖ちゃんかって!」



昼休み、いつものように弁当を食べた後勉強していると、まだ購買のパンを頬張っている美湖ちゃんが怪しそうに私に問いかけた。



数日前、仙道さんに告白されたことがぐるぐると頭の中を回っていた。



◇ ◇ ◇



『ごめんなさい』



深く頭を下げる。



ごめんなさい、仙道さんの気持ちには応えられません、そんな意味を込めて。



『だよね、わかってる。……うん、わかってたよ』



ふっと仙道さんは笑うけど上手く笑えてないよ。



私も悲しくなってきて眉が下がるのを感じる。



『ごめん、くるみちゃんをこんな顔にさせたくなかったのにね、』



仙道さんは再びキャップを深く被って、目が見えないように覆った。



『今日はこれ伝えにきただけなんだ、聞いてくれてありがとね」



仙道さんは目尻を下げて、いつものようにチャラくウインクをしてその場を去った。