でもね……。



「カヤ、私、仕事を楽しんで欲しいよ」



「……?」



カヤの長い前髪から、切長の目が揺れる。



「私のためにがんばるんじゃなくて、私がいるから仕事が楽しい、にしてほしいな」



ね、とカヤを優しく抱きしめてみる。



「そんなんじゃカヤがもたないもん」



「……おう、ありがと」



カヤの腕が私の背中に回る。



顔は見えないけど少し鼻をすする音が聞こえる。



泣いてる、のかな……。



日が暮れるまで、カヤは私を離してくれなかったーー……。