「……えと、こっちかな?」



とりあえず歩き回っている。



エレベーターがあれば戻れるはずなんだけど……。



あれ……どっちだっけ?



歩き回っているうちにだんだんと疲れてきて。



ちょっと休憩しようと壁に手をついた。



「……あ、」



それが扉だと気づくのに時間はかからなかった。



金属の大きな扉。



中からは何かが聞こえる。



……ちょっとした好奇心だった。



生半可な気持ちで入った私がいけないんだ。



今だってもう泣き出しそうだもん。



「っ、」



だってそこにはーー……。



由榴さんとキスをする、カヤの姿があったのだからーー……。