「……ん」



もう扉を開けて家を出る、という時にカヤがマスクをずらして私に顔を近づける。



「ん?行かないの?」



目をつむったままのカヤに問いかける。



ほんとに何してるんだろう……。



「だーかーら、行ってきますのキス」



ちゅっ



突然カヤが動いたかと思うと、私の唇に触れたカヤの唇。



カァァッと顔が熱くなるのを感じる。



「じゃーな、行ってきます」



カヤは意地悪く笑って出て行った。



「〜っ!……カヤのバカ……」



私の声は、誰もいない部屋に差し込む光に溶けていったーー……。