家に帰ると、カヤの姿はなかった。



きっと芸能界に復帰したことでバタバタしているのだろう。



シン、とした家がまた私を不安で包み込もうとする。



あぁ、やっぱり……あのキスは嘘……だったのかな……。



付き合っているのかもわからない。



最近ずっと溜め込んでいた不安がどっと溢れると共に涙も浮かぶ。



ダメだよ、こんなところで泣いてちゃ。



泣いちゃったらすぐにくじけちゃう。



そう思っても止まらない大粒の涙。



ガラス玉のように床にあたっては弾けていく。



なんで……こんなに涙もろくなってるんだろう……。



ずっとこらえてきたのに。



カヤと出会ってから私は……。



ーー泣き虫だ。



「……何泣いてんだよ」



ほらね、君の幻聴まで聞こえるようになっちゃった。



ずっとずっと待ち侘びてたもの。



ふわっと誰かに抱きしめられる感覚。



ずっとずっと……。



誰かに抱きしめられて、慰めてほしかった。



「……大丈夫かよ」