慌てた様子で差し出されたスマホの画面を見ると、見慣れた顔が。



……カヤ。



「椿が活動再開だって!きゃぁぁっ!」



大はしゃぎな美湖ちゃん。



カヤ、活動再開……するんだ。



少しの喪失感に襲われる。



別に悲しくはない、いなくなんてならないし……。



ただ少し……寂しかったんだ。



芸能界に戻っちゃうから、私と疎遠になっちゃうんじゃないかって。



もう私のことなんか目に入らないんじゃないかって。



「そうなんだ……よかったじゃん……」



笑う……笑ってみせるけど、うまく笑えてるかな。



「今日は用事あるから帰るね!また明日」



このままいてもいろんなこと考えすぎて辛くなるだけだ、そう思って帰ることに。



戸惑っている美湖ちゃんに手を振って足速にカフェを出た。



またカヤが私から離れたらどうしよう。



またカヤが全部1人で何かを抱え込んじゃったらどうしよう。



私に言ってくれたあの言葉、あのキスを……なかったことにされたらどうしようーー……。



そんな不安がお腹の底に溜まっていく。