シャーペンを持ちながら美湖ちゃんにぴったりくっつく。


「くるみさぁ、」


「んー?」


美湖ちゃんが、参考書に近づけてた顔をガバッと上げる。


「距離感近いよね」


「……うん?」


思いもよらない言葉が出てきて、ぽかんとしてしまう。


距離感……。


「ウチは全然いいんだけどね、カヤちゃんがどうなのかなって」


カヤちゃん、という言葉に笑いそうになるけど、それはこらえる。


美湖ちゃんは、カヤのことを女の子だと勘違いしているみたい。


初めて話した時は「会いたい!」って連呼していたけど。


カヤの意地悪ストーリーを話していたら、いつのまにか会いたいなんて言わなくなっていた。


「距離感近いと何かあるのかな……?」


ていうか私、距離感近いのかな?


「あんたかわいいんだからねー!男子と話す時は距離感気をつけなよー!」


そんな感じ!と付け加えて、美湖ちゃんは再び参考書に目を落とした。