勢いのあまり立ち上がる。


「はー?あんた何言ってんの?」


短髪の人が、眉間にしわを寄せた。


まるで、俺らの話に入ってくんな、そう言っているようだ。


「……椿、この子に言ってないの?」


垂れ目の人が、意味不明なことをカヤに話している。


何を言ってないの?


私が知らないこと、そんなに重大なことなの?


「……」


カヤはさっきからずっと沈黙を貫いている。


「君、名前は?」


「あ、えとーーーーー」


「だからこいつはカンケーねえってば!」


カヤが声を荒げた。


そんな大きな声に、私の肩がビクッと跳ねる。


こんなカヤを見たのは初めてで。


怒るなんて言っても、無言のままだと思ってた。


「つか、こいつにちょっかい出すなら他あたれよ。帰るぞ」


カヤはキャップを被り直して立ち上がった。


わからないことばかりで、頭はこんがらがっている。