結局朝までその場所にいた。

 
『ごめんねっ
 朝までつき合わせちゃって・・・。』


「ありがとうでしょ!

 もうすぐ夏が来るね・・・
 夏の匂いがする。」


『夏の匂い?』

「うん、ス~~って
息吸ってごらん。」
っと手を上げて空気を
吸う奈央さん。


『ん~~~!
 磯臭っ!!』



「そう!!(笑)気づいた?!
 
 私ずっと夏の匂いは
 海の匂い?って
 思ってたんだけど・・・

 この臭い!って
 夏場だけなのよ!

 冬は臭わないの!!

 それを考えるとこれって・・・

 海の水中の温度が上がって、
 海の生物とか海に投げ捨てられた
 ゴミが腐った臭い・・・

 ただの悪臭なのよ!(笑)

 なんか騙された気がするねっ。」


『別に騙された気になってるのは
奈央さんだけだと思うけど・・・。』

「ハッ?!あんたって子は
 さっきまでビービー泣いてると
 思ったら、何?調子こいてんの!

 泣かすよ!また泣かすよ!(笑)」
って僕を指差す。

『泣かないよっ。別に奈央さんに
泣かされた訳じゃないし・・・
ばぁちゃんのこと懐かしいなっ
って泣いてただけだもん!』

(僕も強くなったもんだ。)


「キィー!!
 何よこの子はムカつくわねっ!

 私のために泣きなさいよっ!」

『やだね!』

「キィー!!
 泣かせてやる!!!」

『キィー!!て何?
 サルの真似?(笑)』

その瞬間
ボクッと思い切り鈍い音!