笑顔でありがとう

俺が彼女にボールを渡したのは、もしもこの想いが伝わらない時、一瞬でいいから思い出して欲しかった。自分にとって最初で最後の決意表明なんだ!
『また明日な!』と言いながら、振り返り歩きだした。本当は今からでも一緒に帰りたかった。家に着いて、俺は部屋で携帯電話を握りしめていた。もうすでにメモリーしてある、あの子の番号とアドレス。時刻は23時を過ぎていた。
《今、掛けたら迷惑かなぁ?出てくれるかなぁ?》
なかなか押せない発信ボタン。願いを込めて、ついにボタンを押した。
〈プルルルル、プルルルル、プルルルルやっぱりダメ?もう寝たのかなぁ?
〈プルルルル、プル!〉・・・「はい」
『もしもし、こんな遅くに電話してゴメン。さっき・』「いいよぉ!ボールありがと!あれから、すぐメモリーしちゃった!」
『気付いてくれたんだ! 俺の番号とアド。』
「こんなに大きく書いてあったら、気付かない人いないよ」
『だよな。あのさぁ』
「ん、何?」
『明日、学校終わったら、一緒に帰らない?』・・・「いいよ、一緒に帰ろ」
『いいの?本当に?じゃぁ、明日待ってるから。』
「うん!また明日ね!おやすみ」
『じゃあな、おやすみ』