春。別れの季節が来た。今日は私が5年近く通った塾にいく最後の日だ。授業が終わり、一人、席に残った私は塾に入った時のことを思い出していた。


_______約5年前

「ゆき、緊張してるの?」
3つ上の姉のはるが言った。
「し、してないよっ、大丈夫、、!」
中学2年生の冬、来年から受験生になる私は姉の通っている塾に体験で来ていた。
「じゃあ、頑張ってね!終わったら一緒かえろ」
個別指導塾だったため緊張している私をおいて姉はさっさと自分の授業に行ってしまった。
私は緊張しながら講師の先生が来るのを待っていた。
「はじめまして!今日担当する講師の矢田です。長谷川ゆきさん、よろしくね!」
矢田先生という若い男性の先生が笑顔で話しかけてきた。
「よ、よろしくお願いしますっ!」
緊張しながら返すと
「そんな、緊張しなくていいよ(笑)」
少し笑いながら矢田先生はそういった。
「そうだ!ゆきさんはなんか、ニックネームとかある??」
「ニックネームですか、?そうですねー、、
友達からはりんりんって呼ばれてます(笑)」
「りんりん??なんでりんりんなの??」
「小さい頃のあだ名がゆきりんでそのりんを取ってるんです(笑)」
「なるほどねー!じゃあ、俺も今日からりんりんて呼ぶわ!」
こんな感じで世間話を混ぜながら初めての授業を終えた。
「りんりん、頭いいねー!英語は得意なの?」
「ありがとうございます(笑)得意とかではないですかねー」
授業が終わる頃にはりんりん呼びは浸透していて、矢田先生と話すときはそこまで緊張し無くなっていた。

その日の夜、私は塾に入ることを決めた。