始める合図はなく、悠と魅影は闘う。さすが、暴走族の総長。それなりの強さは持ち合わせている為、中々決着がつかない。
「チッ」
何度目かの悠からでる舌打ち。魅影は悠を殴ろうとは一切しない。ただ躱すか受け止めるだけ。
悠は拳を振るのを止めた。
「どういうつもりだ」
その言葉に疑問を浮かべるのは周りの男達。
「女を殴る趣味はねぇ」
魅影の返答を聞き、疑問に思っていた奴等は理解した。
悠は未だに怒りを露わにしている。女というだけでこれだけ見下され、相手にされないことに。
「この状況でそれを言うのか?」
「こんな状況になったのはお前のせいだろ。相手が違う」
「アイツ等の目的はアタシ達であってアタシ達では無い。それは分かっているだろ?お前等のせいで計画が狂ったんだ」
「目的が分かってて、奴等の計画に乗ることが無意味だろ」
「アタシには意味を成す。そもそも、テメェ等が桃花を危険に晒しているんだ。今更、共闘なんて出来ると思うか?信用してない奴と一緒に」
魅影は悠の言葉に何も言えないのか黙った。
間違ったことは言っていない、かと言って正しい事でもないだろう。
どうすることが最善なのか、正解なのかなど答えは求められない。今はそういう状況だ。
「やる気がないなら黙って見てろ」
悠はそう言うと体の方向を変え、男達へと向いた。



