龍黒が黙ったことをいいことに、悠はこれ以上、時間を費やしたくないと思い、自ら龍黒の元へと向かっていく。
構える龍黒。そして真っ先に悠が殴り掛かろうとしたのは魅影だった。総長を護ろうと孝太郎が行く手を阻み、悠が振るった拳を止める。
「待ってってば。ここで俺達が争う理由はないってるじゃ〜ん。相手の思う壷だよ〜?」
「関係ない」
止められた拳をそのままに蹴りを入れた。孝太郎は蹴られた反動で後ろに下がる。追い打ちをかけるように孝太郎に近付き、胸ぐらを掴むと顔面を思い切り殴り、倒れた。
それを横目に悠はお構い無しに、龍黒のメンバーに拳を振るっていく。南弦倒し終え、次に秋人、そして柳に殴り掛かろうとした時、横槍を入れるように嘉耶が入ってきた。
「チッ」
「舌打ちはないだろ。俺がここに来た時点で想定でき、その内に起こった事だ。それに、」
嘉耶はグッと顔を近づけ、言葉の続きを耳打ちをする。
「今ここで俺が悠にやられたフリを見せれば、相手は悠に向かってくる。その隙に桃花ちゃんを助けられる」
嘉耶がニコリと悠に向かって笑いかけるが、悠は眉間に皺を寄せ睨む。
「入ってくるな。必要ない」
そう言うと、嘉耶の鳩尾を狙い思いっ切り殴った。反射で殴られた腹部を抑え、膝を付く。呼吸が上手くできなく咳込む。
悠は嘉耶の胸ぐらを掴み立たせると、肩に手を当てそのまま下に体を下げると、先程殴った同じ所に膝蹴りを食らわせた。
それを見ていた周りは目を細め肩を窄《すぼ》め、震えた。
嘉耶は「カハッ」と大きく苦しみ、崩れ落ちるように倒れ、先程と違って大きく咳込む。痛み、息苦しさが嘉耶の姿を見ただけでも分かる程。
悠は何も無かったように柳に殴り掛かる。自分の身を守るように拳を避けようとするが、喧嘩の腕は悠の方が上なのか、避けることも出来ず呆気なく柳はやられた。



