黒翼内で行われている会話に、割って入ることが出来ず、傍観していた周りは空気に圧倒されていたが、その沈黙が破られる。
「鴉、テメェ、約束と違うじゃねーか!1人で来いって言ったはずだ!」
その言葉に反応した悠が口を開く前に、嘉耶が口を開いた。
「お前達の目的は分かってるから邪魔はしないよ。寧ろ、お前達の味方だから」
「味方だと?信用できるか。お前等2人は黒翼だろうが」
「誰かが勝手に付けてそう呼び、広まった噂だろ?俺達は仲間じゃねーよ」
今まで言葉を発しなかった諒圭の言葉に、眉を顰めるのは相手の男と龍黒。
龍黒でさえ、黒翼のことは良く知りえないため、噂と行動を共にしている3人を見て、仲間意識があるのだと思っていた。
諒圭の言葉を聞き、それがただの噂であり仲間ではないということは疑問でしかない。
では、何故、一緒にいるのかと。
「どういう…」
「お前達には関係ない。それより、早く終わらせるぞ」
男の言葉を遮って喋ったのは悠だった。悠にとって長居をしたくない状況。早くこの空間から解放されたい、そう思っての言葉。
威圧感を含めた悠の言葉に、周りは緊張を高め気を引き締めさせられた。
悠は龍黒の方をしっかり見る。それが何を意味しているか、言わずとも分かる。
「やめて!!」
桃花が叫ぶ。
「お前は黙ってろ!!」
「きゃっ」
男が持っていたナイフを桃花の目の前に突き出す。1歩でも、数センチでも動けば刺さってしまうそんな距離。
ビクッと肩を揺らす桃花。恐怖で体が震えているのが見て取れる。
「やめろ!!」
彼氏である秋人も、桃花が傷付くことに恐怖を抱いている。



