黒翼(ブラックウィング)




何分経っていたの分からないが、開けられているシャッターの外から複数のバイク音が響く。誰も使われないこの倉庫に、好き好んで来る奴はまず居ない。それが龍黒ものだと判別できる。



「チッ」


舌打ちをしたのは相手の男ではなく、悠だった。悠の中では龍黒が来る前に、事態を終わらせたかった。


龍黒が来る事で更に事が大きくなるが故に時間が長くなる。面倒事を嫌う悠にとって、手短に終わらせたかったのだ。


計画を邪魔された悠は怒りのほかない。


バイク音はどんどん近づき、音が消えたのは倉庫の前。開かれたシャッターからの光で人影ができ、確認できるのは7人。


こちら側に歩いて来るにつれ、人影からハッキリとしたものに変わっていく。


「チッ」


悠は二度目の舌打ちをした。龍黒とは別に呼ばれていない、来る筈もない相手がそこに立っているからだ。



「嘉耶、諒圭」



悠が捉えた視線の先には2人の姿。



「何しに来た」


来る筈の無い2人を見た相手よりも先に悠が2人に問う。



「何しにって電話で話した筈だよ?悠が自分で調べろって言ったんだ。だから、調べて来たんじゃないか」

「来ていいなんて言ってねーぞ」

「来るなとも言われてない」



2人を睨む悠。意に介さない2人。

桃花が攫われている今の状況でも緊迫した空気なのに、更に空気を張り詰めさせているのは、紛れもなくこの3人だろう。