同時刻、龍黒にも一本の電話が入った。
その電話は悠の時と同じく桃花からの電話であり、それがかってきたのは総長の魅影ではなく、彼氏である秋人にだった。
「もしもし」
「龍黒の矢川だな」
「誰ですか」
秋人の声色に雰囲気が穏やかなものではないことはここにいた全員が感じて、秋人に注目が浴びる。
秋人はそれを分かっていながらも電話に集中する。明らかに自分達を分かって、かけてきている電話の相手は何かしら企んでいるとしか言いようがないからだ。
「誰かは後で分かる。それより、お前の女は預かった。返して欲しくば、13時に○○倉庫に来い。ある奴を倒したら解放してやるよ」
男はそう言うと電話を切った。
秋人は少し焦りを見せる。電話の男の言うことが本当か嘘かと問う必要はなく、桃花のスマホからかけられた電話であれば、攫われているのは明らかだ。
「誰から〜?」
孝太郎からの問いかけにハッとした秋人は電話の内容を話した。
暴走族の姫が攫われるというのはチームにとって由々しき事態である。
「なるほどね〜。これはかなりの問題だね」
「何が問題だ?俺達に喧嘩売ってきたんだ、返り討ちにしてやる」
「秋人の話聞いてた〜?俺達とある人物を喧嘩させる気なんだよ〜?」
「誰が相手だろーが負けねーよ」
「その"相手"っていうのが厄介なんだよ〜。この話の流れだと、その相手は……」



