「……ちょっとどいて下さい」



だけど私だって耐性がつきました。

さすがに今の発言を見過ごす訳にはいかないので、たまには私だってあまのじゃくになってもいいですよね。



「今夜は……月が綺麗ですね」

「うわ、文学的〜!あ、待ってそれの返しってなんだっけ」



膝枕をやめて窓辺に近づき、そっとカーテンを開けて満月に眺める。

意味を知っていた相川くんは起き上がって腕を組んで考える。



「ふざけてみただけなので悪しからず……」

「思い出した!」



からかうつもりが恥ずかしくなって声をかけたのに、相川くんを大きく目を見開いて指を鳴らした。

そしてゆっくりと私のいるところへ距離を縮めてくる。

なんだか怖くなって私はカーテンから手を離して移動する。

しかしすぐに壁際に追いやられ、つやめいたその表情に釘づけになってしまった。