「相川くんなんて大嫌いです……」

「抱きつきながら言われてもな〜。
てか、泣き顔も可愛いって何事?」



いつの間にか相川くんの背に回していた腕。

無意識だったから驚いて手を離したら、相川くんの綺麗な指先が、私の指を絡めとって手を繋いだ。

片手は恋人繋ぎ、もう片方の手は私の輪郭に触れている。

目は私だけを見ていて、その距離がどんどん近づいてくる。



「見ないでください……」

「なんで?こんな可愛いのに」



見ないでと言ったのに相川くんはその距離をゼロにした。

ついばむような優しいキス。

ちゅ、と音を立ててそれを何度も繰り返す。

頬に、鼻に、口に……降り注ぐキスの雨が、好きって気持ちは嘘じゃないと物語っている。

安堵の涙が止まらなくて苦しい。

やだ、絶対ブサイクな顔してます。



「もう、ダメです……!」



甘さに酔ってしまいそうで、相川くんの胸に顔を押し付けた。

あれだけ辛い思いをさせたんだから、涙で濡れるくらい許して欲しい。