「あは、やっと言ってくれた」



ところが、相川くんは優しく私を抱き寄せてきたから意味が分からない。

なんで?告白は断られたはずなのに。



「ごめんね、きいちゃんの気持ち知ってていじわるした」



さらに頬にキスをしてきたから、混乱して何も言えなくなってしまう。



「すげー目が泳いでる。初めて見たそんな顔」

「なん、で?」

「俺が好きって伝えても信用してもらえないから、言わせるしかねえなって。
あと単純に、泣き顔が見たくて」

「ひどいです……」

「ごめんごめん、でも俺としては一石二鳥で嬉しい」



相川くんは手段を選ばないにもほどがある。

胸が張り裂けそうなほど苦しい思いをさせて、その後に甘い蜜を吸わせるなんて悪い男だ。

それでも嬉しくて愛しいと思うのは、とっくの昔に相川くんを好きになっていたから。