「半同棲というか、部屋を使わせていただいてます」

「ん?付き合ってないの?」

「付き合ってません」

「えー、そっか。意外と慎重なんだ。てっきりお父さんみたいにぐいぐい行くと思ったのに」



慎重じゃなくて、恋愛対象として見られてないだけと思う。

永遠さんみたいな綺麗な人たちに囲まれて生活してたら、美的感覚もきっと普通じゃない。

永遠さんと私は、まさしく“月とすっぽん”です。



「刹那のこと好き?」



……何を言ってるんでしょうか。

そんなすっぽん風情が相川くんを好きだなんて、図々しいにもほどがある。

私は永遠さんの問いかけに答えられず、茶葉を入れたティーポットの中にお湯を注いでそれからフタを閉めた。



「……分かりません」



その答えは本心だった。

好きになったら地獄と分かってるから、相川くんに対しての自分の気持ちなんてどうでもいいと思ってた。

私は相川くんにとって特別な存在になれた気がしたから、それでいいやって。