誰からでしょう、相川くんがあんな顔するなんて。

……ほら、気がつけば相川くんのことばかり。

意識してる自分が嫌で、早く無心になろうと書斎にこもって絵を描くことにした。



「……何の話かな」



隣からボソボソ聞こえる相川くんの声。

でも盗み聞きは悪いと思ってイヤホンをして音を遮断する。

それにしても……相川くんはタチが悪い。

それを分かって通いつめる私も私だけど。


気がつけば初めて相川くんの家に来てから1ヶ月過ぎて季節はすっかり冬。

12月を迎えた東京はどこもかしこもきらびやかなイルミネーションで目を奪われる。

街を歩けば、心なしかカップルが増えてる気がしてモヤモヤ。