「出かけるって、どこに?」



恐る恐る尋ねたら、相川くんは腕を組んで考える仕草をする。

数秒後、相川くんは思いついた合図のようにパチンと指を鳴らして私と目を合わせた。



「あ、水族館行きたい。小学生の時行った以来だから」

「私も東京来てから行ったことないかも……」

「決まり、今度の休み水族館デートね」



ああ、よかった。どうやら健全なデートみたいです。



「初めてのデートだから、きいちゃんかわいい服着てきて。
俺、楽しみにしてるから」

「ふふ、浮かれちゃって可愛い」

「あれ、きいちゃん俺のことおちょくってる?
キスして黙らせてもいい?」



付き合ってもないのにデートで浮かれるなんて可愛い。

ちょっとからかったら表情を変えて顔を近づけてきた。

……まずい、その目に囚われる前に何か言わないと動けなくなる。



「やっぱり相川くん嫌いです」



思わず嫌いと告げると「なんでだよ」と声は不満げ。

一方で満面の笑みを浮かべて私を見つめていた。