相川くんはギャップに弱い

「相川くん?」

「……やっぱなんでもない」

「ごめんなさい、気分を悪くさせました?」

「違う、その逆」



謝ると相川くんは笑みを浮かべた。



「そういう影のあるところ、いいなって思った」



……そう思うのは、きっと相川くんだけですよ。

普通の人はネガティブな暗い女は嫌がると思う。

それなのに、そんなニコニコ笑って変なの。



「……相川くんってとことん変わってますね」

「あは、いいよそう思ってくれてて。
まあ変わり者同士、仲良くやってこうよ」



笑顔で肩を組んできた相川くんは横に並んで歩いて、リビングを横断して使っていい部屋まで案内してくれた。