相川くんはギャップに弱い

「わざわざいいのに……なにこれ」

「群馬のお土産です。食べたことないかと思って」

「あー、東京来る前は群馬にいたって言ってたっけ。
ありがと、後で一緒に食べよ」



相川くんはキッチンに向かい、紙袋をそこに置いた。

キッチンはいろいろな調味料が並べてあって、料理する人のキッチンだなと思った。



「料理するんですね」

「うん、料理するの好きだよ。
母さんが料理上手だからいろいろ教わった」



相川くんのお母さんか……きっととんでもない美人でしょうね。



「きいちゃんも料理する?」

「そんな大層なものは作りませんが……お弁当なら璃子の分も毎日一緒に作ってます」

「へえ、えらいね」

「いえ、ただの罪滅ぼしです」



やっぱり相川くんといるとおかしい。

つい本音を口に出してしまう。

相川くんは私の顔を覗き込み何か言いたげ。

だけど顔を上げると口を閉ざした。