相川くんはギャップに弱い

「……帰ろうかな」

「ごめんごめん、帰らないで。今のは俺が悪かった」



帰るつもりはないけど、その素振りを見せたら慌てて腕を掴まれた。

変なの、暇つぶしの女性なんてよりどりみどりなのに、私のことは引き止めるんですね。



「俺、昔から妙に緊張感ないって言われんの」

「度胸があっていいことですが、人をおちょくるのは違いますよ」

「はーい」



叱られたのに嬉しそう。

変わってるというか、メンタルが強いというか。



「あ……そういえばこれ、今日からお世話になるので気持ち程度ですが」



相川くんについて考えるといろいろ疲れる。

話題を変換しようと手に持っていた紙袋を渡した。