……彼女役?何を言ってるんですかこの人は。



「その代わり俺、きいちゃんのいう“可哀想な女の子たち”を全部切るから」



そういう関係の女性がいると暴露しておいて、彼女役になれとは暴論すぎでは?

それに私、その他大勢の女性と天秤にかけられるほど魅力があるわけじゃない。



「俺が飽きるまで俺のそばにいて」



それなのにどうしてこの人はそんな提案をしてきたんでしょう。

やっぱり相川くんはまだまだ謎が多い。

その謎を知る前に飽きられたら嫌だな。

こう思うなんて、私もだいぶ絆されてしまっている。



「冷暖房完備、WiFi使い放題、さらにイケメンがついてくるなんてメリットしかないと思うけど」



悩んでいるとメリットを語ってきた相川くん。

確かにその条件はめちゃくちゃいい。

……うん、たまには璃子みたく楽観的に行きましょう。



「イケメンには惹かれませんが、その他の条件が素晴らしいのでいいでしょう」

「えー、普通はそこに惹かれるんじゃねえの?」

「でも相川くんは、普通じゃない私が好きなんですよね?」

「あは、きいちゃんのそういうとこ好き。
じゃあ決定ね、鍵渡すからいつでも俺んち来ていいよ」



微笑むと相川くんは満足気に目を細めて私に握手を求める。

私は了承の意味を込めて笑顔で握手した。