「ところで何の絵描いてんの?」
「個展に出品する絵です」
「個展?へえ……」
私の後ろに立つ相川くんは私の描く絵をじっくり観察。
色とりどりの花畑の中心で、大きな花束を抱えた笑顔の少女の絵。
実は私はまだまだ駆け出しだけど、画家兼イラストレーターとして活動している。
今度画家として初の個展があるから、そのために作業を進めていたところだった。
「あのさ、その女の子って誰?」
「……妹です」
「へえ、妹いるんだ!なんて名前?」
相川くんは興味津々にキャンバスを眺める。
その真剣な横顔がとても綺麗で触れたいと思ってしまった。
……初対面の人にこんなこと思うなんて今日の私、何か変。
「璃子です」
「双子?」
「いいえ、年子です」
「なんだ、双子だったら俺と一緒なのに」
「相川くんは双子なんですか?」
「あれ、俺のこと知らない?」
さも知っていて当然、といった様子で首を傾げた相川くん。
……やっぱり有名人なんですね。後で調べよう。



