そして私を助けてくれる行動力があるってことも。

助けてもらったからお礼を言わなきゃいけないのに、顔が合わせらない。

ケンカ別れをした状況だし。



「……きいちゃん」

「巻き込んでごめんなさい」

「よく独りで守ったね、偉いよ」

「そんなことないです。守るどころか私、璃子にケガをさせてしまった」



話しかけてきた相川くんに深く頭を下げる。

えらいと褒めてくれたけど、罪悪感ばかりが胸の中に広がってていく。

チア部で1年生なのにレギュラーに選ばれたって喜んでたのに、大事な足をケガさせてしまった。



「璃子ちゃん足ひねってるらしいから病院連れてく。刹那はきいちゃんよろしく〜」



ふと陽気な声がして振り返る。

そこにはなんだか仲良さげなトウさんと璃子が。

……璃子、イケメンだからって警戒心なさすぎですよ!



「え……初対面の人に病院まで連れて行ってもらうわけには」

「大丈夫、悪い奴らじゃないから」



遠慮という名の建前で警戒心を露わにする。

しかし、それを察した相川くんは私の頭を撫でる。

……不思議。相川くんの『大丈夫』には不思議な力がある。

結局、トウさんと快さんは璃子を連れてバイクでどこかに行ってしまった。